光線力学療法、ステロイド併用療法へ切り替えるタイミングについて

病変の進行度合いはどう評価されているでしょうか。ヒトにもともと備わっている機能を標的とする薬は、個人差が大きく出ることがよくあります。細菌の機能に働きかける抗生物質が誰にでも効果があるのと対照的です。抗VEGF薬によく反応する患者さん、中程度反応する患者さん、ほとんど反応しない患者さんなど、グラディエーションのようになっています。大前提として当院での抗VEGF薬の投与間隔は大規模な臨床試験の結果を最重要視しています。ただし生物の個体間の多様性は驚くような「はずれ値」をもたらすことが多いのです。大規模な臨床試験ははずれ値を追求することがそもそもの目的ではありませんし、試験に費用がかかりすぎて非現実的です。しかし現場の診療で大事なのは経過が思わしくない「はずれ値」の患者さんに早く気づき、手を尽くすことだと思います。経過の悪い患者さんをどう判断するのでしょう。加齢黄斑変性はもともと自然史というものがあり(無治療で行くとどうなるかという知識)、それと頭の中で比べることが必要です。加齢黄斑変性は無治療でも、そのときは良くなったり悪くなったりすることがある病気です(数年という単位では無治療では悪化します)。加齢黄斑変性の自然史をきちんと理解する機会をもった医師はたいへん貴重な存在です。抗VEGF薬を注射し続けても自然史と変わらない場合は、光線力学療法やステロイド併用療法など、異なるメカニズムの治療法に踏み切るべきと考えています。

加齢黄斑変性の治療で気をつけたいこと リストに戻る