緑内障

緑内障とは

緑内障は四十歳以上の日本人成人において5~7%が罹患している、患者さんの多い病気です。病状については個人差がたいへん大きいです。血圧の薬のように1日1回目薬をしていればわずかの進行にとどまる患者さんが多数ですが、急速に進行し視機能が著しく障害される患者さんもいます。

日本人における失明原因の第一位が緑内障です。緑内障の進行をおさえるには、低い眼圧を保つことだけが証明された対策です。まず目薬(降眼圧薬)を用いて眼圧を下げます。しかし目薬だけでは緑内障の進行が食い止められない場合、観血手術(メスなどによる直接的な手術)が必要でした。熟練した術者による観血手術の効果は素晴らしいものがあり、今後も最後の拠り所になると思います。しかし緑内障の観血手術は、失明につながる術後合併症がみられること、手術後に頻回受診をしてメンテナンスする必要があること、数年すると効果が失われる場合が多いこと、術者の技能により結果が大きく異なるなど、いろいろな課題があります。当院では新しく導入したパルスレーザー治療(保険診療です)と、基幹病院での観血手術の利点をくらべながら、より確率の高い方法を提案しています。

眼圧と緑内障

ヒトの身体には血液が循環し、酸素や栄養を運んでいます。眼はやや事情が異なり、光の通り道については血液そのものだと光をさえぎってしまうため、海水に近い透明な水(眼房水)が流れる特別な仕組みが備わっています。すなわち眼内に透明な水が湧きだし、流れ、回収されています。血液の圧力が血圧で、眼房水の圧力が「眼圧」です。

眼圧と目と脳を結ぶ神経(視神経)のバランスが悪いと神経が負けてしまう、つまり緑内障になります。

視神経は約百万本ありケーブルのように束になっています。緑内障で、見えにくい、視力が下がる、という自覚がでるには部分的に8割以上の神経が死滅していると予測されています。早期発見をし、神経に余力があるうちに治療を開始したい病気です。特に羞明(まぶしい)という自覚がでてくる場合には、耐性の強い神経種も失われてきたことの反映なので、よほど治療を強化しないと危険です。多くの人の眼圧は9~20mmHg(ミリ水銀柱)ですが、視神経の強さは個人差・年齢差が大きいため(高齢になるほど弱くなると考えられています)、眼圧に安全値はありません(低い眼圧の方が神経のダメージの可能性は減ります)。また、眼圧には日内変動があります。緑内障の患者さんの多くは、早朝に眼圧のピークがあるといわれています。受診時間ではありませんので、最高眼圧がとらえられることは稀だと考えられています。血圧についてはご家庭に血圧計をお持ちの方も多いと思いますが、眼圧はご自身で測れないため、受診時の、ある瞬間しか測定値がないことが緑内障の治療方針決定を難しくしています。

したがって、受診時に測定する眼圧が高くなくても、視野が悪化してくる場合やまぶしさが強い場合、注意深い観察が必要です。点眼だけで進行する場合には、当院ではパルスレーザー治療(CycloG6)、または観血手術を患者さんにご説明しています。

パルスレーザー治療

当院で東海地方ではじめて導入したイリデックス社サイクロG6は初のパルスレーザー治療機器で、白目の表面から毛様体へ照射することで、眼圧の低下を見込むものです。レーザー照射時間は2分40秒です。術翌日、3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後の受診をお願いしています。

緑内障の目薬が3~4種類になっても眼圧が十分下がらない方、点眼のアレルギーで瞼が痛痒くなってしまう方、点眼が多くて気分がふさぎがちな方、後期高齢となり目薬の管理が難しいと思われる方は、パルスレーザーを検討すべきと思います。特に高齢者の方は結膜の老化の観点から観血手術が難しい場合があり、パルスレーザーが有利に思えます。当院では、高齢者の方は特によい治療実績がみとめられています。適応があるか否かを十分検討し、よく患者さんと相談して、手術の実施をきめていきます。